第5代校長 柳町 道廣
学校は楽しくなければならない。楽しく、安全で、安心できる場でなければならない。これが本校の真っ先に掲げるモットーです。精神的にも、物理的にもゆったりした環境を生徒に提供することによって、生徒の持つ様々な可能性を引き出す教育方針は、実は獨協の長い歴史の中から生まれた基本的な考え方なのです。獨協埼玉の歴史は、高校でも三十数年、中学にいたってはわずか十年を経過したにすぎません。
しかしその母体である獨協の歴史は百三十年を越える流れをもっています。獨協の教育の基本理念は、戦後獨協の校長を務めた、元吉田内閣の文部大臣にして、著名なカント哲学者天野貞祐の「学問を通じての人間形成」ということばに言い尽くされています。そして、その教育の精神は、本中学高等学校の教育の基本的方針「自ら考え、判断することのできる若者を育てる」ということばに脈々と受け継がれているのです。それは、言い換えれば、人間的にも社会的にもバランスのとれた若者に育てる教育ということでしょう。つまり、一方に偏った価値観しか持てない人間は近未来の目標に向かって、偏った教養を化学肥料のように施された促成栽培のように植えつけられる教育の結果として作られると考えます。
本校の教育方針は、効き目は遅くとも副作用のない有機肥料を与えられた植物のように、大地に大きくしっかり根を張った幹の太い若者に育って欲しいとの願いが反映されています。毎日の勉学によって幅広い教養を身につけ、部活や学校行事を通じて幅広い人間関係を構築し、客観的で視野の広いジャッジ能力を有する若者になってもらいたいと願っています。そのために、われわれ教職員は、生徒の卒業後の進路についても、本当に自分に合った、自分の本当にやりたい学問を自分で客観的に考えて決められる判断能力を養うための指導に徹します。
幸いなことに、本校の高等部の場合、中学からそのまま進学してくる生徒が半数、他の中学から厳しい入試の関門を突破して入学してくる者が半数というように、異なる教育内容を経過して来た生徒によって構成されていることで、お互いの長所を学び合い、切磋琢磨して成長できるという利点を持っているため、一方に偏らない客観的判断力を養える土壌が用意されています。約8万㎡の広大な敷地とゆったりした広さの校舎に代表される施設・設備の中、遠くの未来を見据えることのできる、視野の広い、優れた社会的リーダーに育ってもらいたいと、教職員一同が願っています。